あたしは夏柑に近づいて、机の上の資料をヒョイと覗いた。
「真剣な顔して、なに調べてるの?」
「目撃じょーほー。」
長い時間、資料と闘っていたのか、疲れたように目頭を押さえながら、けだるそうに答えた。
「ふーん。で、宮武の居場所は分かったの?」
「……まだ。確証がねぇ。」
夏柑は、不機嫌そうにぽつりと呟いた。
ま、あたしにとっては好都合。
「じゃあさ、今から一緒に調査しに行かない?桜木町へ!」
「はぁぁあ?今から?春花と二人で?」
「そう!調査しに!」
「面倒くせぇ。誰が、お子ちゃまなんかの世話なんかするかよ。足手まといになるのが目に見えてる。」
「お子ちゃまじゃないし!」
「まだまだ、ガキだ。行くんなら、俺一人で行く。」
「やだ!絶対、ついてく!」
あたしは真剣な顔で、夏柑の瞳をじぃーっと見つめた。
というか、睨んだ。
首を縦に振るまでは、死んでも目を離さない!
ってぐらいに、夏柑を睨んだ。


