春花の話を聞いた海と和樹は、事務所を出た後、先程のことについて喋りながら帰り道を歩いた。



「ねぇ、和樹。春花…、大丈夫かな…?」


「どうだろな…。」


「親に会って、それで、もし傷つくことを言われたら、またあの頃の春花に戻っちゃいそうで怖い…」


「あの頃?」


「…和樹は知らないんだっけ?春花ね、転校してきたばっかりの時は、いつも無表情で、孤独に堪えていたんだよ?見ていて、とっても辛そうだった…」


「そういえば俺も、最初の頃は何話しても無表情だったな。だから、初めて笑いかけてくれた時は、すっげえ嬉しかった。」



そう言ってはにかむように笑う、和樹のそんな表情を海は初めて見た。

そして、少しからかうように和樹に問いかける。



「ねぇ?和樹ってさ、春花のことが好きなんでしょ?」


「…っ…!!?す、すすす好き!?…な、ななな…っ!誰が!?」



和樹は明らかに動揺して、何を言ってるのかサッパリだ。

そんな和樹を見て、海は思わず笑ってしまう。