保健室へ向かう途中、杉崎が話し掛けてきた。
「なぁ、春花…」
「ん?なに?」
「昨日、なんで泣いてたの?」
「………。」
単刀直入な質問に、あたしは思わず立ち止まった。
「『あんたなんかに、わかるはずない』って、どういう意味?なにがわかるはずないの?」
「……7年間。」
ポツリと呟くように言った。
「7年間…?なに?」
「…なんでもない。」
「なんでもないわけないだろ?じゃあ、なんで泣いてたんだよ?」
消したい過去を突き付けてくる杉崎。
「泣いてなんかない。」
過去を消して、強がるあたし。
「嘘つくなよ。泣いてただろ?」
引き下がらない杉崎。
「泣いてなんかないってば!!」
あたしは怒鳴った。


