世界聖戦

「もう話はいいだろう」

改めて剣の霊装アロンダイトを構えるランスロット。

「本来は魔を斬るべき霊装だが…言い掛かりに等しい理不尽な理由で罪なき信徒を屠るヴァチカンの祓魔師など『魔』も同然…アロンダイトを振るうに足る」

「待って下さいランスロット!」

「最早語る舌は持たん!」

タンッ!と地を蹴り、カタリナに突進するランスロット。

躊躇する様子はない。

本気でカタリナを斬るつもりだ。

「くっ!」

止むを得ず、彼女は携えた分厚い本の表紙をランスロットに向ける。

アブドル・アルハズラットにより書かれたアラビア語のネクロノミコン原書『アル・アジフ』。

複雑多岐にわたる魔道の奥義が記されている魔道書、ネクロノミコン。

その原典であり、狂える詩人アブドル・アルハズラットにより、730年にダマスカスにおいて書かれたのが『アル・アジフ』なのだ。