体育館ではなく、戦闘用のリングのある「戦闘場」へ青木と笹野と一緒に向かう。
その途中で、七海とすれ違った。

七海が、こっちを見て微笑む。
オレも、少しだけど笑い返した。

「ちょっと、ちょっと~。見ましたぞ!」

「いい感じじゃないすか~!」

ニヤニヤと二人がオレを見る。

「それにしても、遅かったなぁ!」

「ほんと、やっとですか、ってかんじ?」

オレのことを見たまま、二人はニヤニヤと話を進める。

「やっとって、何が?」

意味が分からない。
戦闘授業のことだろうか。
それにしては、ニヤニヤしすぎだろう。

「またまた~。」

「付き合いだしたんだろ??香我美さんと、オマエ!!」

「っなっんで・・・・!!」

何で、分かったんだ。
今、すれ違ったとき?
でも、あんなのはただの社交辞令ともとれるじゃないか。

「じつは、校外学習のときから、怪しいと思ってたんだよね~。普通、カップルじゃない男と女が二人っきりで観覧車なんて乗らないし!」

「観覧車の二人を見たときは、なんてベタなデート場所なんだって思ったけどね~。」

見えて、いたのか。

・・・オレとしたことが、すっかり忘れていた。
笹野は、足の速さと目の良さだけは、他のやつよりぬきでていたことを。
たしか、コイツの視力は4、0。
日本人とは思えないほどの視力。

不覚、だった・・・。