~香我美七海side~

すぐ近くに、守野君がいる。
こんなふうに、男の子と密着するのなんて初めてでドキドキするけど、動けないから文句は言えない。
この運び方が、また恥ずかしい。
お姫様だっこだなんて・・・。

さっき、守野君が私の名前を呼んでくれた気がした。
あれは、空耳だったのだろうか。
でも、なんて嬉しい、空耳。

私は、私を軽々と持ち上げる彼を見て、また視線を落とす。
目があったら、きっともっと恥ずかしいから。