「ちょっと、動くなよ・・・よっと。」

オレは、香我美の背中と膝下に腕を滑り込ませ、持ち上げた。
やけに、軽いな。

「きゃっ!?」

「そんなんじゃ、ゴールまで行けないだろ?非常口まで、連れてくからよ。」

オレは、香我美の赤くほてった顔を見つめながら、非常口へと向かう。

それにしても、まさか香我美の名前を呼ぶなんてな・・・。
何故かは分からないけど。

ただ、あいつの名前を呼びたかったんだ。