~香我美七海side~

入ってきた男は、私がもっとも会いたくなかった人。
にこりとするこの男は、三津谷祐一。

この男は、私の事を人間として見ていないのだろう。
いや、私というより自分以外全てをだろう。

目が、そうなのだ。
無機物を見るような、冷めた目。

「・・君の王子さまが来たようだよ。」

「っ!」

柚希くんのことを言っているのか。
それしかあり得ない。

「・・・・ここは、あなたの屋敷?」

クスリと笑った。
彼の微笑は、肯定と受け取っていいのだろう。

「・・あなたは、何がしたいの?」