ランク世界


「意外と、遅かったわね。」

背後から、声が響く。
振り返ると、オレが入ってきた扉に、女がもたれていた。

黒い髪。メガネ。しわ一つ無いスーツ。

「茂呂、美智子・・先生。」

それは、オレの担任だった。
担任だというのに、休みが多いことから、存在を今の今まで忘れ去っていた。

「何故ここに?って顔をしているわよ?優秀性の、守野柚希。」

真っ赤な口紅の塗られた唇が、にこりと狐を描く。
しかし、その瞳は冷淡で、感情というものが感じられなかった。

「教えてあげてもいいけれど。あなたは私の、自慢の生徒なのだし。・・・知る権利が、あるのでしょうね。」

コツリ、とハイヒールが音をたてる。
先生は、ゆっくりと一歩、また一歩を繰り返し、近寄ってきた。

「入学式の日、私があなたたち生徒に、SSランクと言ったのは覚えている?」

オレは無言で、頷く。
とにかく早く、会話を進めて終わらせたかった。

「・・そう。・・・私たちは、自分の本当のランクを人に教えることは禁じられているの。どう?私の本当のランク。あなたならもう、分かってるんじゃない?」

「SSSランク・・・ってことか。」

クスリ、と先生は笑った。
そして、今までずっと後ろでくんでいた腕をはずし、右の手首をオレに見せる。
はめられていたリストバンドの色は、金。
つまり、先生がSSSランクだという真実を表している。