ゆーくんは結局2限目も出席しなかった。
今は3限目の化学。


今日は実験じゃないから私は授業に集中できるわけもなく、
架歩とこっそりお喋りをしたりして。


右を見ると悠真は爆睡状態。
左は机と椅子が寂しくポツンと置いてあるだけ。


ここでちょっと席の説明をすると、
これまた悠真とゆーくんに挟まれていて


右が悠真、左がゆーくん。
前が架歩で…。


「お〜いっ美月チャン!」


ねぇねぇっと小さな声が後ろから。
そしてツンツンとシャーペンの頭でつつかれる。


「なによ、夜槙」

半分睨みながら後ろを振り向く。



「睨まなくったって良いじゃん!」

ブーっと拗ねている男の子。
彼は夜槙 棗(ヤマキ ナツメ)。
どっちかっとゆーと小学生みたいな性格。

可愛らしいっちゃ可愛らしいけど…。



「どうせ美月チャン暇なくせにっ」



いやいやいやいや。
私はこう見えて暇じゃありまへん。



「私は暇で忙しいから暇じゃないもん」


ふんっと鼻を鳴らし、夜槙にドヤ顔。


そんなやり取りをしていると、
ガラガラっと後ろのドアが開かれた。



ゆーくん!やっと来た。
なんか、ご機嫌のように見えるのは私だけ?



「お、如月。体調は大丈夫か?」

先生が休ませることなく動かしていた手を
止め、心配そうにゆーくんに問う。


「はい、もう大丈夫ですよ」

ゆーくんは男の先生にまで眩しい笑顔を向け、ツカツカと席に座った。