視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


長田さんは顎に手をあてながら、
『すみません。次の質問、いいですか?』
と言って、続けて話し出した。


「【MOYA】とは何ですか?【黒い靄】の事でしょうか?分かる範囲で教えて下さい。」


その質問に、おばさんが先に答えた。


「【MOYA】とは、私の知る限り【黒い靄】の複合体の事だと思います。」


「”複合体”…ですか?」


「はい。【黒い靄】に引き込まれて、帰還出来なくなった…魂の様な…。」


と、そこまで話しておばさんは言葉をつまらせた。

その代わりというかの様に、大輔が話を続けたんだ。



「【黒い靄】は、私怨の根源です。」