机の上のノートや、引出しの中のノート、 メモ紙、バインダーの中のルーズリーフ。 何か書き込める物を次々に開いていく。 お願い!! 何か教えて!! ひとつでもいいから!! そう思いながら探し続ける私に、後から付いて来た長田さんが部屋の入り口から話しかけてきた。 「香歩さん。大輔君が書いた物は、私達も捜査の時に探してみたんだ。だが、それらしき物は見付からなかったんだよ…。」 「そんな…。」 淡い期待を打ち砕かれた私は、最後に手に取った”数学”と書かれたノートを持ったまま座り込んだ。