視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~



長田さんは、私から一度視線を反らして斉藤刑事を見やると、額に手を当ててから顎に向かって撫で下ろした。


斉藤刑事は…とても話せる状態じゃなかった。
あんな物を見た後で、尋常でいられるわけがない。


私自身、2度目の赤い光景や香里奈の事で心が折れそうだった…


だけど…


繰り返し私の事を”セツ”と呼ぶ【黒い靄】から、香里奈や大輔を取り戻さねばという気持ちで持ちこたえていた。


【黒い靄】は私と何か関係していて、私には危害を加えそうに感じられない。


それなら、大輔と香里奈を救い出せるのは私しかいないんだと思ったんだ…。



”帰ッテオイデ…”



その言葉の意味を深く考えずに…