視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~



部屋の空気が重苦しい物に変わっていく…。


肌で…全身で…それを感じた。


斉藤刑事は舌打ちをしながら、まだドアノブをガチャガチャと捻らせている。

私は周囲を見渡しながら香里奈に寄り添い、香里奈の体を布団ごと抱き締めた。



抱き締めていた香里奈の震えが増したその時…
香里奈は小さな声で、怯えながら呟いた…





「…きっ…来た…っっ。」





空気中にゆっくりと黒い靄が広がっていく…


私と香里奈は身を寄せ合いながら、
ただそれを見る事しか出来ずにいたんだ…


黒い靄が人の形になりつつある頃…


背後のただならぬ気配を感じ取ったのか、斉藤刑事はドアノブを握りながら後ろを振り返った。








「うわああああああああぁぁっっ!!!」