私がその香里奈に駆け寄ると、息を切らせながら追いかけて来た斉藤刑事に、
『勝手な事をするんじゃない!』
と、部屋の入り口から怒鳴り付けられた。
「すみません…。」
と、私が素直にそう言うと、斉藤刑事は溜め息をつきながら腕組みをした。
その場で、私達の様子をただ見守るつもりの様だ…。
「…香里奈?どうしたの?熱あるの?」
私がそう香里奈に話しかけると、香里奈は掛け布団の前を少し開いて、
私の顔を確認するかの様に、怯えながら見上げた。
布団の隙間から覗かせた香里奈の目の下には、色濃いくまが浮き上がっている。
それが、眠れていないという事を言わずとも私に知らしめた。
「…香里奈?眠れてないの?」
「……香…歩。」
「…ん?何?」
「大輔…。黒っぽい何かが見える…そう言ってたよね…?」
香里奈は弱々しく、そう私に問いかけてきたんだ…。

