視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~



その時、
『痛ぅっ…!』
と、小さな声を発しながらお母さんが頭をあげた。


「あら、やだ…。お母さん転んだの?怒って追い掛けたらつまづいたのね。」


そう言ってお母さんは私を見上げた。


さっきの血の様な涙は消えていた…
目はいつも通りの優しい目をしている
いつものお母さんだっっ!


私は漸くお母さんに駆け寄り、抱き付いた。


「お母さん!お母さん…良かった…。」


安堵して、何度も何度もそう呟いた…。