私の背後に居たであろう【黒い靄】が、煙の様に長田さんと斉藤刑事の方に移動して行く…。


心臓が煩いくらいに打ち付けて、私はその様子をスローモーションで見るかの様に目で追った。


何をするの…
本当に殺すの…?
この2人を…

そんなの…駄目っっっ!!


私は勢いよく立ち上がり、長田さんと斉藤刑事の腕を力強く引き、そして叫んだ。


「今すぐ帰って下さい!」


斉藤刑事は怒った様子で、
『まだ話は終わってない!』
と言ったけれど、そんな事には構っていられなかった。


人が死ぬかもしれないという事態に…


私は2人の背中を押して玄関に追いやる。


「疑われてるのは分かりました。監視とかは好きにして下さい!逃げませんから!今はとりあえず帰って下さい!」


それだけ言うと、私は靴を履いた2人を玄関から追い出し、扉を閉めて鍵をかけた…。