視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


私はガタガタと体を震わせながらも…


これは幻聴だよ
ここには誰もいない
階下にお母さんと刑事さん達がいるんだ
きっとその話声が
耳に入ってきてるだけ…!


そう自分を奮い立たせて、勢いよく自室のドアを開けた。



-- ガチャッ!



駆け込んだのは自室であるはずなのに…。



そこに広がる異常な光景に、私は息を飲んで大きく目を見開いた。




壁一面の赤、赤、赤…

天井までそれは広がっていて、

その【赤】は…

… ぴちょん … ぴちょん …

と、音を響かせながら滴っている…




まるで惨殺現場かの様に変貌した自室の中で、私は悲鳴をあげた。





「イヤアァァアアァァーー!!!!」