視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


長田さんがそんな事を言うとは思ってもいなくて、信じてもらえるのかと私は驚きを隠せなかった。


「…えっ…。信じてくれるんですか…?」


「それは、また別の話なんだ。犯人が…取り調べ中に呟いてね。その関連性を知りたいんだ。」


「呟いてるって…?何をですか…?」


「”【MOYA】に取り込まれた。【MOYA】からは逃げられない。”と、そう繰り返し言うばかりで…。正直、精神鑑定も難しい。」


続けて聞いた【MOYA】という言葉が、背筋に悪寒を走らせた。

私のスケジュール帳に書かれてあった、大輔の事と被ったからだ。



”黒っぽい物が近付くって何だろう?”



大輔の言う【黒っぽい物】

私の言う【黒い靄】

犯人の言う【MOYA】


その異なる言葉達が、同一の物と思えて仕方がなかった…。