長田さんは困惑しながらも、私の言った言葉に問いかけてきたんだ。
「それはどういう意味?人として尋常じゃないって意味かな?」
「…違います。人間以外の別の物という意味です…。」
「…香歩さん?」
「…あれは…【黒い靄】です…。」
きっと長田さん達には、私が頭のおかしくなった子に見えるに違いない。
でも私は誰かに、一人でも自分の不安を打ち明けたかった。
昨夜、このリビングで見た【黒い靄】の事。
ナイフを突き付けてきた男と、【黒い靄】から聞こえてきた声が、
一緒だった事を…。
長田さんは一度俯いてから、何かを決心したように話し出した。
「老夫婦を殺害した犯人は、逃げずにその場に居て逮捕したんだよ。」
「逃げ出さなかったんですか…?」
「…してない。逮捕するまで…笑いながら刺し続けていたからね…。」

