視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


栄は、歩くセツを振り向きもせずに話を続けた。


「借金を払いきる事はいい…。だが、セツはどうなる?!金で買われたんだっっ。帰ってこれるわけがないっっ。」


辛そうな表情をした栄は、眉間にシワを寄せながら一度俯き、憎しみの表情に変えて顔を上げ、言ったんだ…。


「だが…それも違った…。」


華やかな着物を着たセツが、家屋に入って行く。


「君は、…セツは、私を裏切ったんだ!!」


部屋に足を踏み入れたセツが、無惨な死体を見て叫ぶ。


「…だから、私が殺した。」


そう言って、栄は家屋に向かって歩き出した。

その栄の手には、いつの間にか日本刀が握られていて、その日本刀には…血が滴っていた…。