視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~



「その体は、セツの願いを叶える為に作られた物だ。”器”が何なのかは【MOYA】しか知り得ない。だが、セツの魂がそこにあり、生前と変わらぬセツの姿をしているのなら、何ら問題はない。」


「私は誰なの…。」


「……。」


「ねぇ!!私は誰なの?!!!」


「…そろそろ時間だ。」


私の訴えを無視しながら、栄は家屋の前に向かって歩いて行った。

その後を小走りで追いかけながら、私は、
『答えなさいよ!!!』
と怒鳴り付けたけれど、栄は気にする素振りもせずに、私を振り返った。

栄は、家屋の方を指差して、
『あの二人は、殺される。』
とだけ言った…。