視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


夕方。
高台からの帰り道、天気予報通りに雨が降りだした。

大輔は持ってきたその傘を刺し、私と二人、肩を並べて歩く。

『風が気持ち良かったね』とか、
『花が綺麗だったね』とか、
そんな話をしながら歩いていた。

その時、突然大輔に肩を捕まれて、大輔は、
『危ないっっ!!セツ!!!』
と、そう叫んだんだ…。


「えっ…?…セツ…って言った?」


傘は大輔の手から放れ、音をたてながら道路に転がった。

二人に雨が降り注ぐ。

大輔は私の問いかけには答えず、


「…っ痛ぅ…。」


と、声をもらして左腕を右手で押さえている。

その腕や、押さえた指の間から、真っ赤な血が流れ出していたんだ…。


「大輔?!」