お母さんに電話をするのは、校門を出てからにしようと足を進めた。

校門のすぐ脇には一台の車が停められていて、その車に寄り掛かる様にして立っている長田さんの姿が見えたんだ。


「長田さんっ!!」


私がそう声をかけると、長田さんは笑顔を見せながら片手を上げた。


「長田さん!もしかして香里奈、戻ったんですか?!」


「いや…そうじゃないんだ。」


そう言って、長田さんは困った様に微笑んだ。


「…そうですか。」


あからさまに落ち込む私に、長田さんは話を進めた。


「昨日の今日で申し訳ない。事情聴取に…同行してもらえるかい?お母さんには、伝えてあるから。」


「そうですか…。はい、分かりました。」


そう返事をした私は、長田さんと一緒に車へと乗り込んだんだ。