視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~



「それは…。長田さんの記憶が無いことも影響しているんですか?応援の方達も、記憶がないと…?」


「そうだよ。記憶を消された側は、こう解釈する。私と斉藤の勝手な君への監視、村井さん宅へ同行。その時に起こった香里奈さんと、香里奈さんのお母さんの失踪。何らかの原因で気を失った斉藤を援護する為の、勝手な応援要請。その後、私は何故か香歩さんと松原家へ行き、署に戻るまでは行方知れず。…どういう事か、分かるかい?」


「それって…大変な事なんじゃ…。」


「最悪、懲戒処分だった。だが、今までの勤務従事が考慮されて、厳重注意で済んだんだ。」


「良かった…。」


長田さんは、安堵してそう呟いた私に、
『結果的には、良かったのかもしれないが…』
と言って、話を続けた。


「その提出した大輔君の報告書は、そこにあるのにもかかわらず、誰一人として見向きもしなかった。初めから、そんな事は起こってない。まるで、その報告書自体が見えていないかの様な反応だった。」