視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


私の問い掛けに、渋い顔をして口元に片手を当てて、
『パソコンに入力した大輔君の報告書データが消えたんだ。』
と言ったんだ。


「え?間違って削除しちゃったんですか?」


「いや、違う。その後に作成した香里奈さんの分は残っていたしね?…その報告書を印字してあったから良かったが…。消えていたと言うよりも、バグっていたんだ。文字の羅列になっていた。」


「えっ?」


「私自身、困惑したよ。大輔君の事を覚えてはいなかったのだから…。仕方なく、私はその印字した方だけを提出した。大輔君のと、香里奈さんのを。そこから問題が起こった。」


「何…ですか?」


「私は勤務中に勝手な行動を取ったとして、尋問を受けた。香里奈さんの家に行った後、なぜ、君と一緒に大輔君の家に行ったのか。…気を失った斉藤、応援の捜査員達を残して何をしていたのかと。」