視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


長田さんはどこかやつれた感じを受けたけれど、微笑みながら私を見て、
『こんにちは。香歩さん。』
と、穏やかに話しかけてきてくれたんだ。

先生と大輔は驚いた様で、私と長田さんを交互に見ていた。


「市川。長田刑事と知り合いなのか?」


「えっ?…は、はい。」


この答え方で合ってるかな?
長田さんは私を覚えてくれているみたいだし。
だって、名前を呼んでくれた…。


私は、それが嬉しかった。
私を覚えてくれていた長田さんに、安心したんだと思う。


河内先生は、
『長田刑事が市川と松原に聞きたい事があると言うのだが…。お前達、何かしでかしたわけじゃ…』
と言い掛けて、長田さんにそれを遮られた。


「河内先生。この子達は何もしていませんよ?本当に話を聞きたいだけなんです。まぁ…雑談の様なものです。」