視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


私がそう言うと、おばさんは困った様な顔をして、
『香歩ちゃんち、ペットでも飼い始めたの?逃げ出しちゃったのかしら?猫とかハムスターとか?』
と、訳の分からない事を返してきたんだ。


「やっ…。飼ってない…。変な事聞いて、ごめんね?大輔、起こしてくる!」


そうおどけて笑って言った後、私は大輔の家の中に入って行った…。


おばさん…記憶を無くしているの?
”セツ”という名前も覚えていないみたい…
おばさんが先に言った事なのに、何で…?

おじさんも、昨日の様子が嘘みたいに…
【黒い靄】に記憶を消されたの?
それなら、何で私は覚えているの?



じゃあ…大輔は…


そう考えながら歩いていた私は、大輔の部屋の戸を前にしていた…