「…本当に、ダメなことはね…。」




篠原先輩の手に力がはいる。





「………?」




「本当のことを、言えなくなってしまうことだよ。」




「!」





じゃあ
ずっと私は間違っていたの?



ずっと、正しいと思ってきたことが、間違いだったの?





…いや。
一度だって 私が正しいことをしてきたと思ったことはない。




分かっていた。

心の奥底では。




こんなことしたって




何も変わらないって。


あの時が戻るわけでもないって。


自分の犯した過ちがなくなるわけでもないって。




分かっていた。



ずっと。