だけど…


前は気にしなかったけど…









今はすごい気になるものが目にはいる。









…それは白雲が左手首につけたリストバンド…









これは聞いていいのかな……。












俺は意を決して、白雲に話しかけた。



「白雲。」



「ん?」


なんの緊張感もないまま、白雲が俺の方を向いた。










「その…左手首につけた…リストバンドって……。」




俺がためらいながらも聞くと

白雲の目は驚くほどに見開いていた。









白雲は右手でそれを覆いさすっていた。










白雲はゆっくりと口を開く。

「ん〜…これね…前、私が刃物で切ったから…」





「え……」



いわゆる……









「…リストカット……?」




白雲は困り顔で頷いた。








白雲が…してたなんて…




「今はしてないよ?ほら、この間私のお兄ちゃんの隣に女の人いたでしょ?」


俺は頷く。

「あの人…かほさんが止めてくれて……リストバンドをもらったのも、かほさん。」












「そう、なのか…」




俺は聞いちゃいけないことを聞いた…

バカだなぁ…俺……。










俺が俯くと…





髪をクシャクシャとされる。








俺は驚いて、顔を上げた。



「…あ…ごめんね。つい…悲しそうな顔してたから…」


白い肌をピンクに染め、手を引っ込めようとする白雲。






だけど、俺はその手首を掴む。




その手首は左手首。リストバンドがある方。





俺はそれを自分の手で包んだ。




「空…く、ん…」




俺はそう呼ばれると…


胸がキュン…と苦しくなった。

そのまま自分の方に寄せた。






だから、白雲が俺の腕の中に…





この間は…抱きしめてあげられなかった…




俺が鈍感すぎたから…






気づいたんだ…




俺は…。