「知ってる?未来ちゃんってね、嘘つくと目を合わせないのよ?」
優しく私に言う。
…!!
そして、かほさんは私の左手を無理やり掴んだ。
「ちょ……」
私は隠そうとするがすでに
袖はめくられていた。
かほさんは氷のように固まる。
もうどうしようにもできない…
同情するならすればいい。
でも同情なんて一番嫌いだし一番傷つく。
かほさんは…
私の手首を掴んだまま
自分のバックからゴソゴソと何かを探す。
「あったぁ…」
そして、私の左手首に何かを通す。
それは
リストバンド。
なんの柄もないただの白のリストバンドだった。
私にそれをつけると
「はい。これで大丈夫かな?」
悲しそうな瞳で私を見ていた。
「痛かったでしょ?でもこれは同情じゃないわ。今、未来ちゃんが思ってる事わかるから。」
またニッコリ微笑むかほさん。
でも、なんでかほさん持ってるの…?
知ってたわけじゃないよね…?
「誰にもいわない。ただ約束だけしてほしいの。」
私をみつめるかほさん。
「やく…そく…?」
かほさんは頷き、
「私は…多分、未来ちゃんを止める事はできない。結局は自分のこと傷つけるんでしょ?でもわかってるからこそ、それをやめてほしい。」
そして、私を抱きしめる。
「気づけなくてごめんなさい。守れなくてごめんなさい。」
またあのぬくもりが私を包む。
私は多分、ずっとこのぬくもりを待っていたんだと思う。
ーー…それからは私はやめた。
きっとまたやったら、かほさん悲しむし…
何よりあの体温を忘れてしまいそうになるから。
ちゃんと今は約束を守っている。


