俺たちは絶好調だったが
一気に不運ばかりが続く。
俺もそうだ…。
多分まだ誰にも気づかれてないと思うが
左手首がチクチクして痛い。
試合終了まで残り30分。
持つだろうか…?
俺は左手首を右の手で抑えた。
じんじんして、自分の心臓の音が聞こえて気持ち悪い。
俺が周囲を見渡すと
キャプテンがボールをもっていて
何か合図する。
あの一回ボールを地面に打ち付ける合図。
あのポジションにつけってか。
俺は相手チームのやつを邪魔しながらポジションに立つ。
『空くんっ!!がんばってっっ!』
そんな声が聞こえた気がした。
こんなうるさいのに、よく聞こえたもんだ。自分に感心してしまう。
あと残り25分。
キャプテンは三年にボールを渡し
それからタイミングを見計らい
大樹にパスをする。
大樹は惜しくも取られたが
それを取り返す一年。
その一年は俺を見て
俺にパスをする。
俺は邪魔されながらも
回ってきたボールを取り一気にゴールまで走る。
が、それは広に取られた。
やっぱりか…。
どうやら、広は俺がボールを持っているのは気に食わないらしい。
だから、さっきだって俺がもらうボールを取ろうとした。
焦らず俺はキャプテンに任せた。
余裕な顔で、すり抜ける広に対し
キャプテンも余裕で
横から広に襲いかかろうとしていた。
スレスレなところで取れない。
けど、キャプテンはニッと笑い
反対の手でボールを奪った。近くにいた大樹は転がってきたボールを取って
三年にボールを渡す。
威圧が強い先輩だっけな。
そんなの通用するかわからなかったけど
ギロリと睨むだけで皆は肩をびくつかせた。
その隙を見て、一直線に俺にボールを渡す。
俺は走ってからボールを取る。
けど…
スルッ……
俺の手からボールが滑り落ちたのだ。


