俺はついうつ向いてしまう。
しかも廊下だから結構声が響く。
でも周りが煩いため、俺たちの会話は誰にも聞こえてない。
はぁ…と、大樹はため息を漏らす。
「未来ちゃんのこと好きなんだよね?」
…え?
は?なんで知ってるんだ??
まだ、誰にも言ったことないのに…
「親友だから、そんぐらいわかる。でも俺も未来ちゃんが好きなの分かってるよね?」
まるで挑発されているようで、俺はイライラする。
そして…
「お前だけが落ち込んでるって思ってんじゃねーぞ…」
小さな消えそうな声で呟いた大樹。
俺は驚いてしまう。
大樹は俺の胸ぐらを掴む。
「お前はずりぃんだよっっ
バスケに…未来ちゃんに…
全部取ろうとすんなっっ」
そう叫び、俺が絶句していると
つまらなさそうに俺の胸ぐらをバンッと離し
去ってしまった。
俺はただただ呆然としているだけだった。
あんな大樹初めて見たんだ…
しかも…
『全部取ろうとすんなっっ』
…俺は何をしているんだろう…。
自分の情けなさに怒りを覚えた。


