今思うと、なんか恥かしいな……
でも、ほんと奏太の手って大きかったなぁ…
あたしの手なんてすっぽり入っちゃって………
「ちづる?」
振り向いた奏太があたしの名前を呼ぶ。
呼ばれてハッとなるあたし。
なんか変なの…。
「…な、に?」
「映画、午後からだけど…それまでなにする?」
何しよう……。……というか、
「…ちょっと お腹すいた、かも…」
「ちゃんと朝メシ食べてんの?」
…いや、食べたけど 空くんだよ。人間だもの。
心の中でつっこむ。
「…、まぁ 俺も人の事言えねぇけど…」
ガシガシと頭を掻く奏太。顔は、そっぽを向いたまま。
え。なんだそれ。
「じゃあ…なんか食べにいく…?」
「おう。そーするかー」
歩き出すあたしたち。
いつもと変わらないデート。

![無題: 小野寺久子より [修正中]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.777/img/book/genre6.png)
