「謝んないでよ、ばーか」



最後まで猫かぶったまま、奏太と話したくない。

いつもより声のトーンが低いあたしをみて奏太は目を丸くする。


「あたし、絶対諦めないから…」


諦めてなんか
やんない。

だって、

あんなそれ奏太見てるのつらい……



「ごめん」

奏太はまた謝る。

なんで、

また笑って呼んでよ。
エリカって…

「帰る……」


泣くのを必死で堪えて、一言その場に残してあたしは帰った。




しばらく歩いてから速度を緩めてケータイを手にとってボタンを押した。

この前聞いといて良かった…


『ーはい?なに?どしたのエリカちゃん』


「あ、もしもし?急に電話してごめんね。麻衣ちゃん」


ぐ、とケータイを持つ手に力を込めた。

「ちづるちゃんの番号教えてくれないかな?ーーーー」