お化け屋敷の出口でエリカちゃん達と合流し、それから幾つかのアトラクションに乗って、お昼時になった時。
「おなかすいたねぇー…」
エリカちゃんが、お腹をさすりながら言った。
「あ、俺なんか買って来るよ?」
そう言って三木くんは、お昼の買い出しに行き、あたし達は座って食べる場所を探した。
日当たりがいいベンチに三人で腰掛け、三木くんを待つ。
はずだったんだけど……
「エリカ、ちょっとトイレ行って来るね」
エリカちゃんがふわりと髪を揺らしてベンチから立ち上がり、三木くんに続いて席を立つ。
え…!?
ちょっと、………二人だけ…?
残されたあたしと奏太。
気まずいにも程がある。
…………………。
あたしはその沈黙に耐えられず、立ち上がってカバンから財布を取り出した。
「の、飲み物買ってくるっ」
こんなの、耐えられるわけないじゃん!!
「え………手伝うか?」
その瞬間少しだけ、体が震えたと思う。
だって、奏太の口から声がでて来たから………
ずこく、久しぶりに聞いた気がする。

![無題: 小野寺久子より [修正中]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.777/img/book/genre6.png)
