高弥side
「もう高弥わけわかんないッ!!別れるっ!」
その声と同時に、俺の頬に感じる鈍い痛み。
俺に痛みを残したまま、その先輩は走って行った。
「いって……」
じんじんする、そこを手で抑える。
先輩から別れようって言ってきたのに、なんで俺が叩かれなきゃなんねーんだよ……
別れようって言われたから、うん、わかったって言っただけなのに。
意味不明だわ……
先輩の行動に痛みと怒りがふつふつと湧き上がってきた。
軽く舌打ちをして、壁に手をつきながらふらふらと歩く。
もう、忘れよーっと。
自分でも笑えるくらいに、軽く考えすぎだ。
ほんとに…笑えるわ…
「高弥?」
名前を呼ばれて振り向くと、奏太がいた。
「なにしてんの?」
奏太にそう言われて空を見た。
「んー…修羅場?」
そう言って小さく笑う。

![無題: 小野寺久子より [修正中]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre6.png)
