7分の1のスキ。




なんなのあいつ、

上原ちづる。



あたしが見つめる先にいる、その人は他の男と笑っている。


ムカついたから、今度ダブルデートしよって誘っちゃった。

おととい塗ったばかりのネイルを弾く。
ぱちぱちと音を立てる爪。



きらきらしてて、かわいーなぁ…


「ねぇ、奏太。見て、かわいくない?」


そう言ってあたしは、奏太に手を見せた。

「うお、すげーな。そんなのしてたらなんもできねーじゃん」


渇いた声で笑ったけれど、奏太はやっぱり同じとこを見る。


あたし、

知ってるよ。




上原ちづるが奏太の視界に入ると、奏太がずっと目で追ってること。


でもね、

あたしはそれでもいいの。



奏太のそばに居れれば、それでいい。




たとえ、奏太の気持ちがどこかにいってても。