「上原…」 名前を呼ばれると、反射的に顔をあげてしまうのは誰でも同じだろう。 あたしだってそう。 名前呼ばれたら、顔あげちゃう。 だけど、少し違った。 あたしが顔をあげると、すぐ近くに三木くんの整った顔があった。 あたしの唇に三木くんの熱が伝わる。 あたしの体ば硬直して動かない。 三木くんの唇が離れて行ったあと、あたしの唇は涼しい秋風にさらされる。 「おやすみ」 笑いながら言った三木くんは、方向転換をして帰って行った。 あたしも、状況を理解できず 「おやすみ」 と、言って手を振る。