電話が終わってから、クローゼットから上着を取る。
…最近、外寒いよね。
そりゃ、そうか。
もう9月の下旬だもんね。
外に出ると、思っていたよりも寒く、思わず体を縮めてしまった。
「さっむ……」
もっと来てこれば良かった。
寒空の中、時々手を息で温めながら公園に向かう。
公園について、はしのベンチに腰掛ける。
寒いなぁ……
息を吐きながら、冷たい空気を吸わないように俯いた。
ぐしゃり
と、頭のうえに乗る大きな手。
「上原怖いから、貞子かと思った」
優しく笑って、三木くんがポン、と頭を撫でた。
あたしはなにも言えず三木くんを見つめることしかできなくて…
三木くんの後ろに薄暗い空が見える。
あたしの隣に腰を落とす三木くん。
「寒いねー」
「だなぁー…大丈夫?上着貸そっか?」
そう言って、着ている上着を脱ぎたす三木くん。
「えっ、ちょっと…!いいよ!平気だから」
「ん?……ほんとにー?」
にぃ、と笑う三木くん。
…………。
「寒いから……くっつこ?」
た、たまにはあたしだってこんな事言っちゃうもんねーッ!
あ…れ、なんかシケちゃった。
うわぁ、あたしやっぱりこーゆーの向いてないんだな…
「…うえ、はら。…やめなさい……」
え?
そう言う三木くんは手で顔を覆っている。
「もー…心臓もたねぇよ…」
え?
…え??
なにこれ。
「ご、ごめん………」

![無題: 小野寺久子より [修正中]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre6.png)
