呆れた表情でエリカをほったらかし、視線を逸らした。
ドアの隙間からするりと抜ける、体。
今の…ちづる……___…
そう思った途端に、椅子から立ち上がる俺の体。
「奏太どこ行くの?」
部屋を抜けようとする俺を、エリカが引き止めた。
「トイレ」
と、だけ言って部屋を出る。
さっきのは、ちづるだった。
…てゆうか、俺とエリカは、何で付き合ってるんだ…?
俺はエリカの事好きじゃないし、…ただ、断れなかっただけ。
俺の中ではこう、割り切っているけどたぶん最低なことを、俺はしているんだと思う。
トイレに向かうと、女子トイレから出てくる人影に、ぐっと俺の喉の奥が痛くなった。
相手も俺に気づいた様子。
心臓が痛いし…それに、気まずい……

![無題: 小野寺久子より [修正中]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre6.png)
