「夢の為に、受験、頑張んだろ?」

「・・・凌也」


「受験が終わるまで待ってやる」

「・・・え」


「あんな男の為に、待ってやるんじゃねえぞ」

「…あんな男」

…それはきっと、恭治の事を言っているんだろう。


「桃子の受験が終わるころには、アイツだってサッカーで進む道、

決めんだろ…それまでの数か月間、桃子には手を出さない」


「・・・何それ」

あんな男とか言ってるけど、ちゃんと恭治の事も考えてんじゃん。

・・・ってか、手は出さないってどういう意味よ。


「桃子の受験の邪魔はしない、だから今日デートに誘ったんだ。

強引だったけどな」


そう言って凌也は笑う。


「その間、オレもやらなきゃいけない事あるし」

「美容師の修業?」

「?!」

黙って頑張ってたんだよね。

私に知られて、驚いた顔をしてる。