今日一日は、凌也とずっと二人きりで遊びまくった。

…本当は、受験勉強で遊んでる暇なんてないんだけど。

今日だけ、この一日で、自分にけじめをつける。


家に帰るころには、辺りはすっかり暗くなっていた。

「今日はありがとね、凌也。凄く楽しかった」

そう言ってニコッと微笑む。


それを見た凌也も嬉しそうに笑った。

「それはよかった、桃子、スッゲ―思い詰めてたから、

気分転換にはなったか」

そう言って私の一歩前を歩いていく凌也。


思いがけない言葉に、私の足は止まる。

それに気づいた凌也も足を止め、そして振り返った。

「おい、どうした?」

「・・・なんで」

「・・・あ?」

・・・何で、私が思っている事、全部わかっちゃうの?

・・・何で、凌也はそんなに優しいの?

私は凌也と一緒にいられないって言ったのに。


何も言わない私を見て溜息をついた凌也は、

ゆっくり私の方に歩いてきた。

そして、目の前で足を止め、私を見下ろす。