「じゃ、持って行ってくるね」


「えぇ、お願いね」


あたしはお盆にお茶とおにぎりを乗せてキッチンを出た。


そのまま2階へ向かい上がって2つあるドアのうち、奥の部屋を目指す。


あたしは2度そのドアをノックして「太一、おにぎり持ってきたよ」と、声をかける。
すると珍しく部屋から返事があった。


「遅いじゃねぇか!!」


「ご……ごめん」


いつもは大学から帰って夕飯を食べて、それからおにぎりを準備する。


けれど、今日はバイトに行っていたから遅くなったんだ。