女が、去ったあと老婆は真剣な顔して杖をついた。
「やっぱりな。で、今回の用件は?」
「…倒せ。あいつを」
老婆は、低い声で言う。
「倒す? あいつって誰だ?」
「お前さんは、もうここに居てはならぬ」
杖をおもっきし振り、エンを見た。
「…やっぱり、俺は邪魔な存在なんだな」
下を向き、目を伏せる姿を見て老婆は、「違う!」と怒鳴るように言う。
「じゃあ、なんなんだよ?! いつっもそうだ。俺は邪魔者なんだ!」
彼は、何処行っても受け入れもらえなかった。
彼が行く末には、必ず火事などの火の被害が起きる。
そのため、どの村にも受け入れる所はなかった。
この村以外は…
「…違うんじゃ。お前は確かに不幸な子かも知れん。だが、お前は背いてないか?」
「は? なにをだよ?」
「お前さん、自分が何者かも分かっておらぬようじゃな?」
落ち着きを一旦取り戻したエンが老婆と逆方向に座る。
「ああ…知らね。俺は一体何者なんだ?! 知ってるなら教えてくれ!」
老婆は、一息ため息をついた。