一瞬女は、顔が曇ったような気がした。
「それで……皆で…村全員でエンをこの村から追い出そうとしたんです…!」
「はぁ?」
目を見開いているエンとは逆に真剣な表情で老婆は、言った。
「…お前さん。いくつじゃ?」
いきなりの言葉に女は、口をポカーンと開ける。
「…24です…」
この村ではかなりの若手の方だった。
「成人しても、わからいのか? 人を傷つけるというこは、自分の名誉も傷つけると言うことじゃぞ?」
エンは、「ババア…何が言いたい?」と低い声で睨んだ。
「分かっています。だけど、皆がこのままでは耐えきれなくて…」
「うむ。それもわしがわかってとる」
「なので…ご、ごめんなさい!」
言い終わったあと、女は泣き崩れた。
「お前さんの罪はないとしよう。だか、一つ約束じゃ」
女は、老婆の方を見て「何でしょう?」と問う。
「しっかり、働いて幸せに暮らすんじゃ。それがお前さんの償いじゃ。わかったらいけい」
女は、涙を拭いた。
「あ、ありがとうございます! それと…」
「それと、ごめんなさい。エン! 貴方に当たってしまって…何て言えば…」
もじもじしながエンの方を向き、言った。
「良いんだよ。悪いのはお、俺だし。俺のほうこそ…その悪かったな」
照れながら言うエンを見て、女は、少し笑った。
「何だよ? 俺が謝るなんてそんなに可笑しいか?」
「うん! それじゃあね。おばば様ありがとうございました!」
「うむ」
女は、軽く会釈しその場を去った。
「さて、ここから本題じゃ」