冷たい空気が流れ込む。
「…おい! お前ら何してんだ!」
「ヤバイ! 逃げろー!」
人の声が聞こえたと同時にいじめていた少年二人が逃げ出す。
「何だよ……あいつら」
「ありがとう…お兄ちゃん。それにシトとソディ」
「別に……なんであんたみたいな弱虫が、お兄ちゃんの弟なのよ?」
「おい。ソディ……フウ、大丈夫か?」
ソディがムスッとした顔で皮肉を言う。
お兄ちゃんと呼ばれた少年は、フウの兄であった。
「うん。少し蹴られたところが痛むけど……大丈夫」
「俺、右肩持つよ。お兄ちゃんは左肩持ってもらっていい?」
そう言いながら、右肩を持つが…
「……大丈夫。ボクは大丈夫だから…いつものことだし」
シトの手を振り払い、下を向きフウが言い家に帰っていった。
「……何よ。素直じゃないわね。フウぽくない」
ソディが心配そうに言う。
「珍しく心配してるな」
「うっさい! ってお兄ちゃん? どうしたの?」
シトの言葉にソディは照れながら流し、空を見ているフウの兄に問う。
「えっと……オレもあいつがどうしたのかな? って思っただけだよ」
「ふーん……シトも? 変だよ? …あ、いつもか」
「俺は、普通だっての!」
「…………………あいつは、もう気づいたのか…」