そして……………現在
「リク! リク!」
シトの声が響き渡る。
「居たよ! シト兄」
「……リク、ソディがな、生け贄にならなくても良くなった!」
まるで、小さな子が言うようにシトはいった。
「よかったね。リク兄!………リク兄?」
「お前……誰だ?」
「え? なにいってんの? リク兄」
理解が出来ないトーヤを見て「落ち着け」とシトが言う。
「…俺も誰だかわからないか?」
「ああ…お前はおいらのこと知ってるのか? おいらは…一体…」
「お前の名前は、リクだ。俺は……………その、お前の友達だ!」
『人間とエルフの子よ。この元人間の記憶はもうない。こいつは、我になっている。お前達の知ってるやつではない』
何処からか声が聞こえた。
「この声は?!」
「もしかしてだけど…"地"様?」
トーヤが、少し自信なさけげに言う。
『うむ。我は"地"だ。こいつは、時期にここを離れる』
「な、何で?!」
トーヤが、驚いた顔で言う。
『…こいつは、もう人間ではないのだぞ?』
「それなら、俺だって一緒だ! 俺も…エルフで人間じゃない」
『こいつは、エルフではない。今さっき"地"になった。"地"は本来いる場所に行く。邪魔するなら容赦はしない』
「ちょっと! 何処行くんだよ!」
『西の国…だ』
「待った! リク、これ持ってけよ」
「これは?」
シトがリクに何かを渡した。
「…エルフの飾り物だ。もしフウってやつがいたら渡してくれ」
「確かに預かった」
そう言うと、リクは何処かへ行ってしまった。
「西の国ね…」
「また、一人♪ だけど、これで全員揃ったんだよね? これは…倒しがいが、あるな」
少女の声ともう一人の声が近くで小さく響きあった。