「じゃあ、お前はこれくらいで…お前はこれくらい……皆もらったか?」
リクが一人一人子供のたちにパンやフルーツなど、さっき盗んだものを渡す。
「うん! 今日は豪華だね」
「お兄ちゃんありがとう!」
小さい子達が喜び「いただきます」と手を合わせた後、美味しそうに食べた。
「ああ。あれ? トーヤは?」
「分かんない」
一番背が低い少年がパンを食べながら言った。
「リク兄!」
「お、噂をすればだな」
リクは、笑いながら言った。
「…トーヤ…兄の…ぶん」
この集団の中で一番、無口な女の子がパンを持ちながら言った。
「あ、ありがとう。じゃなくて、人が倒れてるんだよ!?」
「……大人か?」
少し、低い声でリクは言う。
彼は、大人が大嫌いだったのだ。
「ううん。リク兄くらいの男の子と女の子だよ」
「…分かった。案内しろ」
「うん!」
トーヤは、元気よく返事をし「あっち!」と言うと駆け出した。