声が聞こえた方を見た。
「ヨワール殿下!?」
ヨワール殿下とは…この南の国の王子だった。
「そんなに、驚かなくても…」
「あ…すいません」
「何かお悩みでも?」
ヨワール殿下が、浜辺に座る。それにつられて女も座った。
「ええ。いろいろと…」
「そうですか…それより決めてくださりました?」
「すいません…まだです」
「いいですよ。姫君になるのは確かに心の準備が必要ですからね…ですが、民は貴女に期待していると言うことを忘れずに…」
ヨワール殿下は、女を王妃になると民に言ってのだった。
「はい…それより何故私を?」
いきなり、殿下が立ち上がった。
「あの子は、もう知ってしまったか……時が動く」
「えっと…殿下?」
「あ、すいません…一つ確認させてもらっていいですか?」
座り直し、真剣に女の方を見る。
「はい」
女は、王妃のことだと思った。
だが、以外な言葉が返ってきた。
「過去は…知りたいですか?」